敷地探しからはじまる家づくり。

住宅を設計する時は、土地のことを敷地と言います。
ざっくりいえば、敷地とは「建物が建てられる土地のこと」と考えれば良いかと思います。
農地や、山奥でも土地は土地、でも建築物が建てられなければ敷地ではない、という事ですね。

ところで、

家づくりを始める前に敷地は決まっていなければいけませんが、
何をもって「自分たちにとっての最適な敷地」とするかは難しい、というか想像がつきませんよね。
 
 
この土地を買うと、どんな家で、どんな暮らしができるようになるのか?
 
 
これが明確になっていないと、
適切な価格、広さ、場所は選べないはずですが、
当然敷地が先に決まっていないと、家のカタチは見えてこない・・・
 
 
資金に余裕があるならともかく、
どうしても利便性や広さという条件が見える形で提示されると、
まだ見ぬ上物(建築)よりもまずは眼前の土地の方を優先してしまいがちです。
結果、土地にかけるコストが高くなりすぎてしまって
上物(建築)にかけられる予算との、
本来あるべきバランスが崩れてしまう。
そんな例を耳にします。
 
実際、以前の勤めていた設計事務所でも、気に入った土地を買って残りのお金で建てようと思ったら
「そんな金額じゃできないよ」と行く先々で断られてしまい困っている、という方が相談にいらしていました。
 
 
今回のクライアントは予算に余裕はありますが、
だからと言って(だからこそ)、過剰にお金をかけるのではなく
適切な敷地と建築のコストバランスをまず探るべきだろう。と思ったので、
許容できそうな広さ、立地条件の下限値付近であろう敷地をモデルに、
仮のプランと模型を作成して提案してみることにしました。
旗竿敷地に建つスキップフロアの住宅。床面積は120㎡程度です。

模型は1/50で製作。
通常は敷地も決まっていないのにここまで作るのは結構な勇み足なのですが、
空間の立体的な構成についてもイメージしてもらいたかったので、
あえて先行して作っています。

当日、現在のお住まいも実測させてもらい、
(プラント模型を見ていただいている30分くらいで測って図面に起こしました。)
住み慣れた場所と提案プランとを比較することで、
広さ感や使い勝手を想像しやすくなってもらえたかなと思っています。
 
  
許容できることとできない事、
許容はできるけどもう少しこうだといいな、という事
必要条件や十分条件が一歩クリアになったので、
今回の感覚を頭にいれて、
希望にあった敷地を探していければと思います。