設計コンセプトを共有する



「建築家たるもの、あれこれ能書きを垂れるよりも作品性で勝負すべきだ」

・・・という先輩建築家たちのお話を、書籍や紙面上で度々目にします。

その考え方、ごもっともな事で
例えば食べ物屋さんでやたら「当店では〇〇産の××を・・・」とか書いてある張り紙だらけのお店に入ってみたら、なんか出てきたものはパッとしないなあ、なんて経験、ありませんか?

大事なのは美味しいかどうか。
味が良ければ客は来る。

という寸法です。
そりゃあそうです。侯爵ばかりで味はイマイチな料理か、
寡黙な店主が出した絶品の一皿。どっちが食べたい?と聞かれれば、当然後者です。


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ところで、これは

ご依頼いただく方(建築業界では、クライアント、と言います)=注文する人
店主(つまり建築家や設計事務所)=商品を提供する人

という図式ですよね。

でも、
ぼくは建築、特に住まいは
クライアントの方々と「一緒につくっていく」プロジェクトだと思っています。

*アスリートとコーチ、
*受験生と塾講師、
*結婚する人とウエディングプランナー、
*病人と医者、

 ・・・の関係に近いでしょうか。


つまり、 「こんな家が欲しい」「お任せください → はい、できました」
といういよりは、
「こんな暮らしがしたい」「こんな空間はどうですか?」「いいね!ここでゆっくりできそう、でもここはちょっと・・・」「それなら、こうするとか?」「あ、それもありかも」
という具合に
一緒に目指すべき空間を求めて試行錯誤するものだ、と思うのです。

逆に言えば、
優勝したい、と言って優勝を提供してくれるコーチはいないし
どれだけ優秀だとしても、受験生の合格を100%保障できる塾講師はいません。
一緒に目標へ向かって邁進するのみ。
結果として、望む目標へどこまで近づくことができるか?という事なのです。
そのために何をすべきかを考えるのが、ぼくたちの役目だと考えています。


だから
ぼくは、建築に対する考え方をなるべく共有できたらいいな、と思っています。
あるいは、皆様の想いや考えを、なるべく共有したい、と思っています。