瀬戸の住宅(幾何学模様に出会える街の家)の選評が、愛知県のHPに掲載されています。
審査員長の塚本さんから各作品にむけられた総評を読むことができます。

【愛知県HP】
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/jutakukeikaku/smileprize32press2.html

『幾何学模様に出会える街の家』は、同じ正方形平面を1階と2階で45度回転し、両者を包絡するジグザクした壁を立て、部屋の四方に小さなあるアルコーブや吹き抜けを作っている。硬と緩、閉と開、という壁の対比的性格は、一般的に硬×閉、緩×開の組み合わせとなるが、ここでは床の輪郭と壁がずれることで、緩×閉の組み合わせとなっているところが発見的。上げ下げ窓の反復、高低差のある敷地への配置も、生活の細部を反映せずミステリアス。住宅?それとも給水塔?見る者に想像の広がりを与える。(審査員長 塚本由晴)

 

はぁ~・・・なるほどなー そうやって分析して、選評を書くんだ。
と、読んでみて感嘆のため息がでました。

硬/緩、閉/開のマトリクスでこれまでの住宅を分類すると、
硬×閉、硬×開、緩×閉、緩×開、という4つのカテゴリーができる。
この住宅は通常の住宅には見られない緩×閉、というカテゴリーに属している。
これは発見的である、という訳です。

(恐らく「緩」に属すとされたであろう)吹抜け状のニッチ空間は、
確かに普通なら大きな窓を設けて景色を楽しむ場所にしますが、
瀬戸の住宅では、
・上下のつながりを意識できること、
・周囲の地形や街並みや方位に対して、優劣をつけずに等価に構えること
にしたので、比較すると閉じた空間になっています。
(出窓、ベイウィンドウ、サンルームを思い浮かべると、スケスケですね)
この空間が持つ新しい価値があるのではないか、という、
評価であると同時に今後へ向けての宿題をだされたのだと思いました。

こうやって、これまでの住宅の在り方から俯瞰して得られた視点は、
自分では気づいていなかったものでした。
そうやって建築を読むんだなと、
評者の力量をまざまざと見せつけられた気がします。

嬉しい選評でした。
10/26にはプレゼンテーションの機会をいただけたので、
いただいた評価も考えながらお話できるようにしたいと思います。